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巻頭言
街ダネを政策に
市議会議員の仕事は新聞記者と似ているところがあります。それは、市全体の課題や問題を発見し、解決策を提案していくという点です。
新聞記者のギョウカイでは、街ダネという言葉があります。街の人から聞いた話や、街を歩いて気づいた問題を取材して書いた記事のことを言います。議員も新聞記者も、お役所から発信される情報に接することは多いですが、街の人との接点を失ってしまうと、市民の皆さんが生活の中から感じる課題の解決策が見えにくくなります。
街は、新聞ダネのみならず、政策の宝庫です。市議会で議論しなければならないテーマは松阪の街の中にあります。政策というと、国会で話し合われているような堅い話ではと思いこんでいる方もあるかも知れませんが、実際はすべて日常の生活の中で感じる疑問や不安、夢にかかわってくるものです。
議員として、街中を歩き感じたり、人と会って聴いたり見つけたりした課題を解決していくための政策をつくり、議会活動に生かしていくことが自分の役割であると、思っています。
街ダネを政策へ。
| INDEX |
| ●街の声を一般質問に生かしました。 |
2ページ |
| ●市町村合併再論 |
3〜5ページ |
| ●議員の在任特例について |
6〜7ページ |
〈議員日記〉
●決算議会について
●市町村合併後の新しい議会のカタチを |
8ページ |
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●メールマガジンも発行しています。
メールアドレス kaiju_t@yahoo.co.jp |
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街ダネを一般質問にしました。
9月議会で障害者支援費制度、郊外の住宅団地と公共下水道、幼稚園の3歳児保育をテーマに一般質問しました。これらはいずれも、市民の皆さんから寄せられた声をもとに、議会というおおやけの場で議論しなければと思って取り組んだ項目です。
障害者支援費制度は知的に障害のある16歳の女の子をお持ちのお母さん、3歳児保育はその年齢の子どもをお持ちのお母さんから寄せられたテーマです。
2件とも、直接、ご本人とお会いしたり電話でお話を聴かせていただいたうえ、現状と制度の中身を知るため、障害者施設や幼稚園、市役所に行って状況把握に努めました。郊外の住宅団地と公共下水道の問題も、発端はある新興住宅団地の住民からお聞きしていた不安をもとに調査対象を全市に広げ、共通の課題としてとらえた質問となりました。
3歳児保育、市街地の幼稚園にも必要
3つの質問のうち、わたしが9月議会で質問し、解決の方向が見えてきたのは、公立幼稚園で3歳児保育が実施されている幼稚園は市内に3園(伊勢寺、射和、西黒部)しかなく、これらの幼稚園に市内各地から入園希望が殺到している問題です。
特に市街地に3歳児保育の実施園がないため、遠方にある幼稚園まで送り迎えしなければならない質問や、3幼稚園の地元の子どもが入れなくなってしまう問題もあります。昨年、25人の定員のところへ62人(定員50人に引き上げ)の入園希望があった伊勢寺幼稚園には今年(来年4月入園)も60人が応募。 当初、定員オーバーの数は抽選としていましたが、学級を1つ増やして希望者全員に入園してもらうことになりました。
とはいえ、幼稚園の建物・施設にもう余裕はなく、市街地の幼稚園の中から新たに3歳児保育を実施する幼稚園の確保こそが急務と言えそうです。引き続き、教育委員会の姿勢をチェックしていきたいと思います。
市町村合併再論
現在の松阪市は、平成17年1月に、飯南町、飯高町、嬉野町、三雲町の4町と合併し、面積が現在(約209.65平方キロ)の約3倍の623.80平方キロになります。東は伊勢湾の海岸部から西は奈良県境の高見トンネルまで直線で約60キロもある広大な自治体です。しかし、合併することは決まっていても、どのような都市をつくっていこうとしているのかがまだ見えてきません。各種料金や手数料などの調整が膨大ですが、「なぜ合併するのか」「合併することでどのような都市をつくりたいのか」といった根本的な議論は今日に至っても十分でないからです。
本来、まちはコンパクトなサイズ(小さな規模)が望ましく、ヨーロッパではその方向に向かっているという報告(森啓・北海道学園大学教授)もあります。広域合併を進める日本でも、1昨年、合併した西東京市(旧・保谷市、旧・田無市)は面積15.8平方キロ、人口17万9千人、人口103万人の埼玉県さいたま市でも東西18キロ、南北15キロ、面積168平方キロの規模です。これに対し、合併後の新・松阪市は人口16万人で面積623平方キロ。少ない人口に対し、面積の広さだけが目立ちます。合併のメリットとして挙げられている行政の効率という点からも必ずしも合併が効果があるとは思えません。
全国には、小さくても合併せず自分たちでやっていく道を選択する自治体もたくさんあります。それらの自治体は本気になって自分たちのまちの将来を見据えた決断をしているのです。例えば、「合併しない決議」を挙げ、「自立できるまちづくり」を目指している福島県矢祭町がその例ですし、高知県の橋本大二郎知事は昨年秋、合併しない自治体支援の姿勢を打ち出しました。
合併は本当にそれが必要なら推進すればよいし、不必要ならば合併をやめればいいです。それが、わたしのスタンス(姿勢)です。市や町、村が、本気で「自分たちのまちはこのようにしていきたい」と明確なビジョンを打ち出せば、その結果が合併であってもなくても、それは自己決定・自己責任に基づく正しい決定です。いけないのは、国や県の言うがままに流され、独自のまちの設計図を描かないまま、合併を進めることです。松阪市と4町の合併は、決定のプロセスが後者の「いけない」ほうに当たるように思えてなりません。
合併するなら、少なくとも次のことをしなければ行政としての責任を十分に果たしたことにはならないと思います。
【合併するなら その1】
新しい松阪市像を具体性のないイメージ図(新市域をゾーン分けしたパンフレット)で示すだけでは無責任です。市民に現実的ではない幻想を与えます。
【合併するなら その2】
昨年の住民説明会のように、パンフレットを示し概略を説明、市民に質問を求め、それに答えるだけで市民の理解を得たとするものではダメです。
【合併するなら その3】
これからの行政は「市民の皆さんに○○します」というのではなく、どのような松阪をつくっていこうとするのか問い掛けをおこない十分に意向を尊重するなかにも、適切なリーダーシップを発揮していくコーディネート(調整)力と合意形成能力が求められます。このような調整力や合意形成力のない合併では困ります。
【合併するなら その4】
新しい松阪市の広大な規模から見て、世界的にも前例のないチャレンジと覚悟を決めなければ、良いまちはつくれません。行政にはその覚悟と責任が問われています。当然、議会にもその一端はあります。前例なきチャレンジのためには、行政手法のダイナミックな変革が求められるでしょう。
【合併するなら その5】
都合の悪いことも、包み隠さず、分かりやすく情報提供していくことが必要です。パンフレットでは、市民が判断できる材料とは言えません。情報公開とは、情報開示請求にこたえたから情報公開度の高い都市であるなどと満足することなく、市民にとって必要と思われる情報をより積極的に提供していくセンスが問われます。
【合併するなら その6】
松阪市が他都市の後塵を拝すのではなく、トップランナーたらんための画期的な努力を惜しまず、ひらめきと叡智を市民や専門家から採り入れていく仕組みづくりが必要です。合併特例による起債(国から特別枠の借金)を当てにしハード優先の都市基盤の整備よりも、市民と協働してまちを創造していく仕組づくりが重要です。
【合併するなら その7】
議会も、これまでのような形式重視・前例踏襲型の議事運営では新市づくりと市民に対して責任の負える議論は期待できないでしょう。議会改革のできるのは行政ではなく、議員。議会を満足な議論がおこなわれる形に改めるのは市民の常識的な願い。本会議の場で市民が意見を述べることなど、議会への市民参加も必要かもしれません。
まちなかと郊外のまちと
〜中心市街地と郊外が連携する地域政策を〜
団地も10年、20年後を視野にコミュニティづくり必要
人口の高齢化は、中心市街地だけでなく、郊外の新興住宅団地でも始まろうとしています。例えば、世帯数535戸の日丘町でも老人クラブの会員は80人。入会していない人を含まれば、シニア人口はもっと多いはずです。10年後、20年後のまちづくりをいまから考えておく必要がありそうですね。
現在、郊外の団地の生活はマイカーに大きく依存しています。郊外に駐車場がたっぷりある大型スーパーがあるため、車には便利にできています。しかし、高齢化が進展してくると、マイカーのみに頼ったインフラでは、先が心配です。自分で車に乗れなくなると、バスの本数は少なく、どこに出るのも不便なまちに変わってしまいます。松阪市全体の地域循環バスとともに、地域のコミュニティ(共同体)として自分たちの地域で自立し、ミニバスの運行を可能とするような地域経営力を付けていくことも長い目で視野に入れたいものです。
合併後の“小さなまちづくり”
自立したコミュニティづくりを戦略化することも、これから松阪市が合併して「大きな行政」になった時代にはなおさら必要でしょう。「大きな行政」とは相反するような言い方になりますが、市町村合併後の松阪市は無駄を省き、行政のすべきこととそうでないことを線引きした「小さな政府」を目指すはずだからです。しかし、必要な行政サービスとして残さなければならないのは、松阪市のそれぞれの地域が自立と持続が可能なまちづくり対策です。
従来の行政は国・県からの補助金に依存する施策があるのみで、国などの制度に形を合わせるまちづくりを強いてきた傾向があります。それはある意味で行政にとっては楽チンでした。本気でそれぞれの地域のまちづくりに必要な知恵を出さなくても済んだからです。これからは、補助金は減るかもしれませんが、それぞれの地域がどのように自立・持続可能な戦略を練るかに最大の力を発揮しなければいけないでしょう。
持続ある市民共有の財産としての中心市街地
現在の松阪には、松阪駅前から広がる約170ヘクタールの中心市街地に、商業地や歴史・文化がぎっしり詰まった大切な財産があります。これまでは、商業地対策としての施策はあったかもしれませんが、郊外の住宅地と相互に依存し合う関係で共存していくような政策・施策はなかったかと思います。現在、松阪市では中心市街地と郊外を結ぶ地域循環バスの導入に向けた検討はおこなわれています。しかし、たんにバスを走らせるだけでなく、バスの導入をひとつの契機に、中心市街地という松阪市民共有の財産と周囲に点在する住宅団地を相互に連携できる地域政策の創造に発展させていければと思います。
議員の在任特例について
市町村合併後の議会のあり方が問われています。
議員の在任特例を適用し、合併後も1年4か月間、現在の松阪市、飯南町、嬉野町、三雲町、嬉野町の議員82人が在職するという方針をめぐって、当たり前の話ながら市民には反対論が根強いようです。
在任特例を適用していく方針が市長や町長らで構成する法定の合併協議会や市民委員会で説明され、反対論が出るようになったのは9月。特に市民委員会ではなぜ特例を用いるのか納得のいく説明を聞きたいと再三の指摘を受け、そのたびに再協議をしてきたようです。
しかし、その一方で議会全体でこの問題についてどのような話し合いがおこなわれてきたかと言えば、皆無です。在任特例の適用は、議会内に設置している合併問題対策特別委員会(9人)の協議を受け5市町の議長会で申し合わせたものです。
本来、在任特例を適用するかどうかを決定する段階で議員全員の意向を聞いておくべきであったのに、いつの間にか、1年4か月間適用の方向で調整が図られていました。
しかし、その方針が公表され市民委員会の側からの批判にさらされ、議会の特別委員会や議長会で仕切り直しを図り、いよいよ見直しを余儀なくされるに至って初めて、11月5日に議員全員懇談会が開催されました。
全員懇談会では議員特例を適用するとした案をイチから見直し、在任特例を適用せず合併後ただちにおこなわれる市長選と同時に市議選をおこなうことを含め、議員全員から意見を求めるのかと思えば、そうではありませんでした。
会場で配布されたペーパーには、在任特例を1年4か月適用することにした理由がどっさりと書き込んであるだけ(※1を参照)。はじめに特例ありき、その特例を適用するための理由をできるだけたくさん探して並べあげたような内容でした。唯一、前と異なるのは、最も議員報酬の低い飯南町・飯高町を、嬉野町・三雲町の水準にそろえるとしていたのをやめた(※2を参照)という点だけの小手先の修正案です。この修正案で翌6日に開かれる5市町議長会で合意し最終案としていきたいというハラはみえみえでした。
全員懇談会の冒頭で、わたしは、「この時期まで全員の意見を聞く機会のないのはおかしい。議員特例の適用は市民の理解を得られるものではない。合併と同時に選挙をおこなうべきである」と意見を述べました。他の議員のなかにも議員特例の適用は反対という人が2人ありましたが、議論の中身としては提案のあった「在任特例を適用する理由」の文面の改善を求める内容の発言でした。このため、議員特例の適用か否かの論議はなく、ときに笑い声もあがるようななごやかな会合となりました。
こうした状況から判断する限り、現在の議会の大勢は、もはや在任特例の見直しを迫る意志はなさそうです。
※参照1
5市町議長会が議員特例が必要だとしてまとめた理由は次の5つです。
1. 地域の均衡ある発展を目指す合併により住民の声が反映されにくくなる恐れもあることから、一定期間、合併前の議員が在任し、旧市町の地域の意向なり各種計画を十分理解したうえで、その意見を新市のまちづくりに反映させる必要がある。
2. 新市建設計画の円滑な実施合併協議に携わった議員が、合併後の新市でも政策が計画に基づいておこなわれているか見届ける責任がある。
3. 新市が軌道に乗るまでの一定期間必要である少なくとも合併直後の平成17年度の1会計年度の予算等の執行状況の確認と平成18年度の当初予算が審議・議決されるまでの期間とすることにより、事業の執行状況について見届ける責任が果たせるものである。
4. 合併特例法による在任期間の趣旨合併後の予算及びその執行状況である決算を見届けるため2年間必要であるとの趣旨である。
5. 未調整事項の継続審議が必要である先送りに対する住民の不安感は強いものがある。このような中で合併と同時に選挙となれば、地域によっては1名か2名の議員しか選出されない状況も考えられる。さらに合併後は、合併後は、合併による失職のため、合併関係首長等がいない状況の中で、法的に合併後の一定期間在任を認められている議員が地域の代表として責任を持って処理する必要がある。
※参照2
5市町の議員報酬はそれぞれ異なります。
1. 合併と同時にすべて現在の松阪市の水準にそろえる案(月額45万5千円)。
2. 飯南町(月額17万6千円)、飯高町(月額19万円)を嬉野町(23万5千円)、三雲町(同)の水準にそろえ松阪市は現行のまま。
3. それぞれ現行のままとする案とがあります。
当初は第2案が示されていましたが、11月6日の段階で第3案に変更されています。

櫛田川
11月5日(水)
市町村合併後の新しい議会のカタチを
合併後、仮に82人が議員のまま残った場合、市役所5階の大会議室を議場に充てようという話があります。現在の市議会議場は最大でも45人しか入らないため、在任特例を適用しようという1年4か月は我慢というワケです。
在任特例が必要という理由には、合併後の新しい松阪市で、合併協議で約束された事柄が守られ実行されていくかを見守っていく責任があることを挙げています。が、新しく構成される市は、戦乱ののちにつくられる暫定統治機構ではあるまいし、そのような旧勢力(旧議会)ははっきり言ってお荷物でしょう。むしろ、34人を上限(法定数)に新たな議会を選び、新しい発想で議会と街のあり方を考えられる勢力としたほうがスッキリいくように思えます。
11月7日(金)
11月の決算議会でも質疑に参加
11月5日から20日までの会期で11月臨時議会が開かれています。これは、平成14年度の松阪市歳入歳出決算についてチェックする場です。
決算は、7日の本会議以外は、11日から13日の決算特別委員会での審議しか質疑の場はありません。特別委員会(定数10人)には入れませんでしたので、7日の本会議に絞って準備を進めました。
決算は、平成14年度の歳入歳出をすべての項目にわたって表されたものです。歳入ならどの項目でいくら税金(市税など)や使用料、事業費(国・県などから)が入り、いくら不足したかなどすべて分かります。また、歳出ではどの事業にいくら事業費を使い、不要な額はいくらあったかひとつひとつチェックできます。そうして、市の財政事情が見えてきます。

編集・発行人
海住恒幸(かいじゅう・つねゆき)
市議会議員(1期目)
1958年(昭和33年)10月18日美杉村生まれ(44歳)松阪市立中部中学校、
三重県立伊勢高校を経て、82年(昭和57年)に早稲田大学教育学部卒業。
新聞記者となり、夕刊三重と読売新聞で20年、記者生活。勤務しながら、
2000年(平成12年)、松阪大学大学院修士課程修了(政策科学専攻)。雑誌
「伊勢人」(旧伊勢志摩)の伊勢文化舎で雑誌編集を学ぶ。 |