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巻頭言
『見えない議会』を
『見える議会』にするために
この新聞は、松阪市議会議員
海住恒幸(かいじゅう・つねゆき)が発行する市議会通信です。
市議会で感じたこと、考えたこと、提案したこと、実現したいことを、皆さんにお伝えできればと創刊しました。
わたしが、市議会に対していだいた印象は、松阪市議会があまりに『見えない議会』であるということです。それを『見える議会』に変えていくことが、議員としてのわたしが果たす役割であると考えています。
わたしは、約20年(1982〜2002年)、新聞記者をしてきました。その経験を生かし、できるだけコンパクトに議会での出来事をお伝えしていきたいと思います。
市議会議員が、議員活動を通した思いや議会の様子を市民の皆さんにお伝えしていく活動の積み重ねが、『見えない議会』を『見える議会』にする仕事への一歩となるはずです。
5月より、インターネットを活用したメールマガジン版の松阪市議会通信の発行は開始しています。実際の紙に印刷した媒体(メディア)としての新聞はこれが最初です。これに伴い、昨年11月から4月まで5回にわたって発行した「松阪まちかど瓦版」は発展的に解消します。
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6月は市長の所信や肉付け予算が
主要テーマです。
早いもので6月。この月、11日から定例の市議会(定例会)が開会します。
今年は市長選がありましたので、平成15年度の本予算はこの議会の審議で決まります。無投票のため市民の前で政策を訴える機会のほとんどなかった市長が、現在の松阪をどのような都市(まち)にしていきたいと考えているのかを知るうえで大変興味ある場となります。皆さん、是非、議会へと足をお運びください。
松阪市は飯南町や飯高町、嬉野町、三雲町との市町村合併に向けて大きく動き始めていますし、農と匠の里(ベルファーム)などの大型プロジェクトの是非など、6月議会には重要テーマが目白押しです。
| 6月議会の主な議事予定 |
11日 午前10時 本会議
市長の所信表明
15年度補正予算(肉付け予算)案を提案、市長が提案説明。
16日 午前10時 本会議
市長の所信、補正予算案に対する代表質疑
17日 午前10時 本会議
市長の所信、補正予算案に対する代表質疑
議案質疑
20日 午前10時 本会議
一般質問
23日 午前10時 教育民生委員会、産業経済委員会
24日 午前10時 総務委員会、建設水道委員会
27日 午前10時 本会議
委員長報告、質疑、討論、議決 |
市長選挙のある年は、骨格予算といって、どうしても必要な経費だけを盛り込んだ形で新年度当初をスタートし、新しい市長が決まった時点で肉付けするのが、今回の補正予算案です。
補正予算案のうち注目されるのは、一般会計です。
市長の政策的経費が盛り込まれ、新しい市長がどのような政策に力を入れようとしているかがよくわかるからです。
今回の一般会計補正予算案は、約340億円の当初予算に約42億円追加するものですが、このうち、突出しているのがベルファーム(農と匠の里)建設費の約14億4千万円です。可決されれば、同建設費は当初予算ですでに配分されている約10億円と合わせ、今年度約24億5千万円が投じられることになります。
なぜ松阪に
「本物の英国式庭園」?
必然性のない事業
松阪市は、市民の間に根強い反対の声がくすぶる「農と匠の里」内に、イングリッシュ・ガーデン(英国式庭園)を造りたいとして、5月の臨時議会に、約2億7800万円の工事請負契約の議案を提出。議会は賛成多数で可決しました。わたしは、議案に対し、高額な事業なのに、ほかの事業者と価格を競う一般競争入札にかけず、なぜ、特定の事業者と随意契約したのかを本会議の質疑で問い掛け、反対討論をおこないました。

建設中の「農と匠の里(ベルファーム)
2億7800万円という契約を一般競争入札ではなく、随意契約で結んだ理由について、下村猛市長は「本物のイングリッシュ・ガーデンが欲しい」「英国のチェルシー・フラワー・ショーに出品し、準金賞を取った作品が欲しい」と説明しました。
多くの事業者と価格を競わせる一般競争入札に対し、随意契約は、ある1つの事業者しかその工事をおこなう技術がないなど「特別な理由」があると認められるときに限って、その事業者と工事請負契約を結ぶ制度です。
同社以外の事業者に「本物のイングリッシュ・ガーデン」を造る技術がないかと言えば、そんなはずはありません。その場合、随意契約という手法は適切ではありません。
そこで市長は、「英国のチェルシー・フラワー・ショーに出品し、準金賞を取った作品を松阪に移築したい」と答えました。
皮肉な話ですが、こう答えれば、随意契約は可能でしょう。その作品をよその会社が造れば作品の知的所有権を侵害するのですから。
それが2億7800万円もかけて松阪にイングリッシュ・ガーデンを造る理由なのでしょうか。英国の庭園は確かに素晴らしいものでしょう。しかし、それは英国という国の自然風土の中で花開いた文化です。チェルシーという所で開かれたフラワーショーの出品作が良かったからといって、そっくり同じものを松阪の「農と匠の里」に持ってきたいなどという市長の発想には、がっかりしました。
そこで、わたしは、本会議場で次のような反対討論の意見を述べました。

イングリッシュ・ガーデンの建設予定地
(手前はグラスハウス建設の基礎工事)

匠の館と西駐車場
【5月20日の反対討論より】
市長の答弁を聞いても、松阪に、なぜ、イングリッシュ・ガーデンを造る必要があるのか。その「必然性」を認めることはできませんでした。
ここで、ひとつ、逆の見方を示したい。
外国にも優れた日本庭園があります。例えば、カナダのバンクーバーには新渡戸稲造ガーデンという日本庭園があります。これはカナダで病没した新渡戸ゆかりのものです。そのように、日本の歴史や文化とゆかりがあったからカナダという国に日本庭園が生まれたのです。アメリカやドイツにも日本庭園は数多く存在しますが、地元の日本人とのつながりなど何らかの形で日本文化とのゆかりがあってそれらは生まれたものなのです。
それに対し「農と匠の里」のイングリッシュ・ガーデンはどうか。将来、松阪を訪れた英国の人が「なぜ、松阪にイングリッシュ・ガーデンがあるの」と問い掛けたら、何と答えたら良いでしょうか。
第一、あまりにイギリスと日本では気象条件が違うのに、なぜ、わざわざ、イングリッシュ・ガーデンを構想したのか。高額の初期投資と維持費をかけても、期待した通りのガーデニングはできないのではないのでしょうか。
かつてわたしの知人が英国のエディンバラの植物園を訪れた際、たいへん手入れの行き届いた庭に感動したので、担当の職員に話をうかがったそうです。それによると、専門的担当者の数は非常に多く、傷んだ花は毎日取り替えるなど大変な労力をかけているとのことでした。それは、100年以上の長きにわたって営まれてきた本場の植物園だからできるわざであり、それ自体がイギリスという国を支える歴史と文化である。英国式ガーデニングの伝統のない松阪で、やすやすと他国の文化を守れるはずはないと思います。
農と匠の里のイングリッシュ・ガーデンは、それをたんにお金だけかけて、あたかもテーマパークのごとく維持管理していこうということなのでしょうか。それは、ガーデニング・ブームに便乗しただけの施設の目玉づくりにすぎないのではないのでしょうか。
かりにブームに乗っかっただけの施設なら2億7800万円を投じる意義はありません。はたして行政がおこなう仕事として適切な支出でしょうか。はなはだ大きな疑問を持たざるを得ません。
今回の質疑を通じても、非常に高い買い物であるにもかかわらず、極めて安易な随意契約がおこなわれたと判断せざるを得ません。このような買い物は多くの松阪市民は望んでいません。いま、この契約を中止し、業者依存ではなく、市民参加型のガーデンを造るコーディネートをおこなえばどうでしょうか。
先日、現地を見させていただきましたが、いまなら方向転換してもまだ間に合います。
5月19日(月)初議会 議長選挙の巻
先週末の会派代表者会議ですでに議長、副議長とも、内定していました。地元の新聞も本会議よりも前に、28人の満票で正副議長がそれぞれ決定する見通しである旨、報じています。しかし、本会議でおこなわれた選挙の結果は、議長、副議長とも、27票でした。わたしが、シナリオに従わず、別の議員に1票ずつを投じたからです。
議長選挙は、本会議において、1人ひとりの議員が判断しておこなわれるべきもの。会派間の申し合わせたシナリオ通りであってはなりません。しかも、議長、副議長とも、議員の前で見識を示していないのですから、投票の基準はありません。それなのに、シナリオ通り、全員一致で議長、副議長が決まったとしたら、それは気味の悪いことです。
馴れ合いにもつながりかねない下打ち合わせに対し、「ノー」の意志を伝えるため、わたしの1票を投じました。もちろん、これは、現議長、副議長の政見や人格とはまったく無関係に投じた1票です。
5月19日(月) 常任委員割り振りの巻
この日の午後、本会議が再開すると、議席に常任委員会への割り振り(配属)を書いたペーパーが置いてありました。
教育民生委員会のところにわたしの名前を見つけました。
わたしの希望は、まちづくりや行政と市民の役割、市政マネージメントシステムなどを所轄する総務委員会か、商店街問題も範ちゅうに含む産業経済委員会でしたので、「唐突すぎる」と思いました。
会議を進行する議長は「異議ありませんか」と尋ねられるので、次の瞬間、「異議あり」と答え、「本人の希望や適性を聞かないまま、一方的に決めてしまうのは納得がいかない」などと発言していました。
全国町村議会議長会が発行する「議員必携」という本には、「事前に議会運営委員会や全員協議会が開かれて、議員の所属希望をとり、その希望にできるだけ沿うよう調整して、各議員の了解を得た上で本会議を開き、議長が会議に諮って指名する選任方法がとられている」のが一般的だと書いてありました。
議員はいずれかの常任委員会に入ることになっているのですから、議員が個人的に知り合いの議員に頼むという非公式ルートではなく、議員1人ひとり平等にチャンスが与えられる抽選など公式のルートが欲しい。もちろん、全員の希望が認められるわけではないが、抽選での「はずれ」なら納得がいくというものです。
議員は1人ひとり自律した存在として尊重されるべきです。個人より会派の都合を優先するのは本末転倒。
6月2日(月) 「議会は議論をしない所なんだ」の巻
市議会で知ったこと。
それは、質疑・質問であまり食い下がってはいけないということ。
やんわりと質問をしているあいだはよいのですが、市長や部長の答弁に納得できず、質問を繰り返していると、周囲の議席がザワザワし、ブツブツ言う声が聞こえてきます。1回、質問し、答弁があり、それに対し反論するあたりから、周囲のムードは険悪になり、議論の応酬がしにくい雰囲気になります。
すると、議長(本会議)、委員長(委員会)が「暫時休憩」を宣言。論点を整理する作業となります。舞台裏の協議で話がある程度まとまると、質問、討論をおこなっていた当事者に声が掛かり、別室で話し合いとなります。
初めは、当事者の意向に耳を傾けてもらえるのでそれも議会制民主主義の一形体かと思っていたのですが、公開の場での討論・質疑が事実上の打ち切りとなってしまいます。議会は徹底審議をおこなう場のはず。しかし、実際には議事運営や時間上の都合が優先され、打ち止めを優先するよう議会世論が形成されていくようです。6月3日(火) 「議会は議論をしない所なんだ」の巻(つづき)
条例の中には、市民と事業者、行政の役割・責務を明確にし、それぞれが地域社会を担っていく主体であることをうたうなど、市民参画の時代を意識した現代的な内容のものもあります。まちづくり条例などにその傾向が見られます。でも、なかには、言葉遣いや文面の複雑さは旧態依然とし、行政や法律専門家主導の言葉遣いとなったものもまだまだあるようです。
ある条例案について、そのあたりの問題を指摘しました。
それに対しての答弁は、「公募市民の参加も得た中で中身を協議し、弁護士や大学教授の意見も入れてある」ので、手続き面は問題なしというものでした。
しかし、これからの市の条例は、市民に知らせず、しまい込んでおくものではなく、市民におおいに活用してもらう、まちづくりのための道具(ツール)であることを共通の認識として制定にあたらなければ、うわべだけの市民参加に終わってしまうと心配します。
6月6日(金) 市町村合併特別委員会
わたしは、教育民生委員会に所属していますが、時間の都合がつく限り、他の委員会へも傍聴に行っています。きょう開かれた市町村合併特別委員会もその1つ。けっこうフランクに伸び伸びと意見交換がおこなわれていたのが印象的でした。
最後に委員長が「再質問、再々質問のときまでは手を上げ、委員長の許可を取って発言してもらいますが、それ以降は自由にやりとりして活発な論議となるよう期待しています」との趣旨の提案があり、「異議なし」の声があがっていました。
これは、グッドでした。これでなくては。
| いつも市民派。ずっと無党派。 |
| 〜無会派議員として〜 |
「新人は会派に入った方がいいよ」。
いくつかの会派から声掛けをいただきましたが、どこの会派にも所属しない無会派議員になる道を選びました。
議会では会派を組むのが当たり前のように思われているようですが、わたしは議会のその常識が正しいとは考えていません。
議員は、1人ひとり選挙によって選ばれ、平等に発言権と議決権が保障された存在です。また、議会は、1人ひとり自律し、的確な判断力を持った議員によって構成されるものです。それに対し会派はあくまでも、便宜的な存在です。
言い換えれば、議会は議員個々の集合体であって、会派の集まりではないのです。
このような考え方に立てば、会派ごとに意見を一本化し、議員の「個」を消してしまうのはおかしな話です。議事運営はスムーズにいくかもしれません。しかし、それは、市側にとって事前調整を図りやすく、チェック機関としての議会の役割が低下する原因となっていると思います。
わたしは、市民から負託された思いを反映していくためには、活動の自由の幅が大きく、しかも、1人ひとりの発言権と議決権を大切にする無会派であることが本来の議員の姿であると考えています。1人ひとり自律し、的確な判断力を持った議員が、1件1件の議案を適正に精査、検討し、自由に意見し提案していく議会づくりという理想のために、発言し行動します。
現在の議会は、会派代表しか入れない議会運営委員会で、多くの申し合わせがおこなわれます。また、今回の議会でも、市長の所信と補正予算案に対する質疑は会派代表による質問となっており、無会派議員は質疑に参加できません。
しかし、できるだけ、市民の皆さんに議会情報を発信していくことで、議会を変えていく行動への支持を得たいと考えています。
| 編集後記 |
| 初議会は2日間。本会議の間、一番よく聞こえたのは「異議なし」の声。そんななか、 「異議あり」と叫ぶのは結構、勇気の要ることがわかりました。しかし、「異議あり」 と叫ばなければ、議論はないまま、議案が素通りしてしまいます。おおいに勉強し課題 を発見・発掘し、議論は活発におこないたいものです。 |
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